野菜や果物の受粉を仲介する花粉交配用ミツバチの不足が全国的に深刻化する中、県は、県内の養蜂農家から安定した供給を受けられる体制づくりに乗り出した。農業団体や養蜂団体からなる連絡会議を初めて発足させ、29日に初会合を開く。栽培農家と養蜂農家の間で行われているミツバチの貸し借りを促進するなどして、県内の自給体制を強化する狙いで、両者の協議を仲立ちする。(作田総輝)
県内でミツバチを使う主な農作物はイチゴやメロン、スイカなど。栽培農家は、ミツバチを業者から購入したり、養蜂農家から借りたりしてビニールハウスや畑で花粉の交配に使っている。中でも、多数の種があるイチゴは、花粉が均等につかないといびつになり、商品価値が下がるため、全農家が利用している。県内では、県外の大手業者から購入したミツバチを利用するケースが多く、県園芸流通課によると、購入6割、レンタル4割の比率になっているという。
県内でミツバチが不足し始めたのは一昨年頃から。今春には全国的に不足する事態になり、県内では必要量の8割程度しか確保できなかった。スイカなどの栽培農家では、使用をあきらめ、手作業で受粉を行う農家もあった。巣箱にいる群れの数などによって7000円程度から数万円と前後する価格も、3割程度値上がりしたという。
ミツバチの利用期間は、イチゴの受粉作業が始まる10月頃からメロンやスイカの交配に使う5月頃まで。今春見られたような深刻な不足に備え、秋口から必要量を確保できるかが、農業関係者の課題になっている。
こうした中、県は、需給事情に左右されがちな県外業者への依存度を下げ、地元養蜂農家との連携を強化することが得策と判断。新しく連絡会議を発足させ、レンタル方式への転換を促すことを決めた。県は連絡会議を通じて、貸し借りをこれまで以上に弾力的に行うほか、数が少なくなっているミツバチをより長く活用できるようにするため、養蜂農家に飼育方法などを指導してもらうことを検討している。
連絡会議に参加する県養蜂協会の会長で、常陸太田市内で養蜂場を経営する小磯蔵雄さん(53)は「栽培農家の間で使い捨てという意識が強かったミツバチの有効活用策を探ることは意義がある」と話している。(6.29.2009 読売新聞:記事はYomiuri Onlineより)
ミツバチの大量死や大量失踪が問題とされていることはご存知の方も多いのでは。
ミツバチによって受粉し、栽培されている野菜はニンジン、カボチャ、トマト、メロン、リンゴ、アーモンドなどなど。これらの野菜、果物はミツバチがいなければ現状の価格と量を確保しながらの栽培はできないのが現状です。
今でも、植えられた苗の全てに確実に、実をならせるための受粉はミツバチに頼っている作物は多くあるんです。
ミツバチの大量死や大量失踪は日本に限った話ではなく、アメリカやヨーロッパの数カ国でも起きています。
それぞれの国での原因が同じものなのかはもとより、そもそも理由が全くわかっていません。
現在、日本でいわれている理由については、農薬の毒性が低くなったため、ミツバチが気づかずに大量に摂取して、遺伝子に変化が起きているのでは、とか、ビニルハウスなどの限られた場所で単一のミツしか採取出来なくなったことがミツバチにとってのストレスになっているのでは、とか言われています。
また、日本で栽培に利用されているミツバチは日本固有のニホンミツバチではなく、闘争性を低く抑えて開発されたセイヨウミツバチが多く、その不自然な開発と利用に原因があるのでは、とも言われています。
ともかく、正確な原因はわかっていません。
また、農家がミツバチを利用するには養蜂家からレンタルするか買い取るかの方法があるそうですが、買い取りの場合、受粉時期が終わったミツバチは「焼却処分」されたり、放置されたりと、「使い捨て」されてきた、という気になる事実もあります。
自然に循環する社会を実現するためにも、対症療法ではない、仕組みづくりが必要なのではないでしょうか。ミツバチからの警告を聞き逃さないようにしたいものです。
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