7.08.2009

ピアノを弾くのに必要なものとは

生まれつき脊髄(せきずい)などに難病があり、目と足が不自由なピアニスト、月足さおりさん(31)(あさぎり町免田東)が、「いのちの音色を響かせたい」との演題で、学校を中心に講演とコンサートを続けている。苦難の人生に投げやりになった時、友人に支えられた経験を語り、「笑顔で生活することは、とてもすてきなこと」と呼び掛ける。(佐々木浩人)

 幼い頃からピアノが好きで、音楽を通じて心身の障害の回復などを図る音楽療法士になるのが夢だった。病気が体の自由を奪ったのは10年前。神奈川県の短大専攻科に通い、音楽をより専門的に学んでいた時だった。体調を崩し、突然左目を失明。右目もかすみ、物がいくつも重なって見えた。背中や首、手に痛みが走り、右足でピアノのペダルを踏み込めなくなった。夢をあきらめ、「死ぬ方法ばかり考えていた」という。

 支えてくれたのが、友人だった。部屋を訪ねてきては、芸能人の物まねをして笑わせてくれた。その友が部屋を出た直後。外でむせび泣く声がドア越しに聞こえてきた。病を自分のこととしてとらえ、悲しい気持ちを隠して懸命に励ましてくれたのだろう。「私が死ねば、この人は一生苦しんでしまう」と思い直した。

 左足と腕と耳があればピアノは弾ける、と練習に励んだ。幸い鍵盤の位置は体が覚えており、帰郷してピアノ教室を主宰した。1年間で7回もの手術をした闘病生活にもくじけず、昨年6月から県内外の小学校などで講演とコンサートを開くようになった。

 指先がしびれ、点字も読めなくなった。かろうじて見える右目で、拡大した楽譜を覚える。痛みをこらえ、1日4~5時間ピアノに向かうこともあるという。

 6月、高森町で開かれた「命を大切にする講演会」。月足さんは約450人の小中学生を前にピアノ演奏を始めた。体に力が入らないため、力強い曲は弾けない。だが、流れる曲はやわらかく、やさしい。「自分が楽しくないと、聴いている人も楽しくないはず」。体が痛んでも笑顔を絶やさずに演奏に臨み、「自分の命と同じように、友達の命を大切にしてほしい」と子供たちに訴えかけた。

 演奏を聴いた子供たちは「一人に一つしかない命を大切にしたい」「夢をあきらめそうになっても、支えてくれた人のことを思い出して頑張りたい」と感想を話していた。
7.8.2009/読売新聞/Yomiuri Online


ハンディキャップを持つ方の活動を、安易に美談にするつもりはありませんし、そういった思考停止はしないように、きちんとニュートラルな立ち位置で向かい合わなければならないと考えています。

なにより、ハンディキャップを持つ方を「比較対象」とすることは、この上ない冒涜であるとも考えています。

お互いの精神をえぐり出し、ぶつけ合い、互いに成長していけるような社会となることを願います。

ピアニスト辻井伸行さんの快挙への反響から、「流行っている」間はマスコミメジャーが、こういった話題に群がるのでしょうが、我々は自分の頭で咀嚼して受け止めたいものです。

そのうえで。
彼女は周りの方のことを感じ取れて、そしてポジティブなエネルギーを与えようと行動出来る、Bravo!!な方だと感じましたので、取り上げさせていただきました。

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